2008/5/3 土曜日

国際開発ジャーナル5月号掲載記事:開発コンサルタントの新しいビジネス・モデルを求めて

Filed under: 未分類 @ 15:47:01

PPP市場の形成に努め、新事業の展開めざす:ファイナンス能力の強化を

バリュープランニング・インターナショナル(株)の設立は2006年10月。創業者の一人で同社社長の長山勝英氏は、パシフィックコンサルタンツインター ナショナル(PCI)の開発計画部長、総合事業開発部長などを歴任、いわばPCIの“ソフト部隊長”として活躍したことで知られる。既成のフレームワークに捉われることなく、“新しい価値を創出し、社会に貢献する組織”をめざして設立したのがバリュープランニング・イ ンターナショナル(VPI)である。

同社が描く事業ビジョンは、いわゆるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)を基軸に据えた新事業の展開。ODAを中心とした国際協 力分野では「官民連携」のあり方がきわめて重要なファクターとして浮上しているが、手法を含め、その具体像となるとなかなか見えてこないのが実情だ。長山氏は、現行制度が抱える根本的な問題を次のように指摘する。

まず一つ目は「収益性」の問題だ。そもそも収益性の低い分野、事業を取り上げてきたのがODAであり、民間のビジネス論理とは相容れない“土俵”が 根強く残っていることだ。「その土俵に上がれと言われても民間は一歩も動かない。特定企業支援についても、これまでODAがもっとも嫌ってきた部分であ り、本当に取り組むのかどうか、深い疑念を抱かざるを得ない」と原氏。そのため「ODA(=官)の論理が働かない土俵作りを急ぐ必要があり、民間事業の現 場から派生する課題、たとえば人材育成や周辺インフラの整備などにODAの使途を限定していくべきだ」(同)とする。また、発注者と業者という、これまで の官と民の上下関係を、知恵と技術を出し合える「横」の関係、すなわち「協働」関係に変えていくことも不可欠の課題という。

2つ目のポイントは、施設完成後の円滑なオペレーションまでを視野に入れた連携案件の形成が欠かせないという点だ。この問題意識の背景には、ソフト 力豊かなオペレーターがこれまでのODAや民活型案件には入っていない事実がある。たとえば空港施設で一番重要なセキュリティシステムについては成田空港 サービスなどが、また近年要請が増えている地下鉄については東京メトロなどが豊富な営業ノウハウを持っており、こうした新しいプレーヤーの参画、活用を計 画にはめ込み、完了後のメンテナンスの段階までを事前にデザインしていかないと本当の官民連携は困難というのが同社の主張である。この視点から、今後、開 発コンサルタントに求められる専門能力は、一つに人的リソースを含め、経験や知識のインテグレーターとしての機能であり、一つに必要となる資金の確保、す なわちファイナンス能力にあると同社は見る。「コンサルタントはファイナンスの専門家を育成し、資金を繋げるチャンネルを持つ必要がある。これがなければ PPPもうまくいかない」と指摘する。

PPP市場の形成を

長山社長は今後のビジネス展開構想として、(1)JICA及び国際機関等のODA事業をベース分野として、(2)PPP型プロジェクトの形成・実施などの コア分野、そして(3)戦略ビジネスの3分野をターゲットに据える。(1)については、PPPコンセプトを導入したインフラ整備、都市・環境事業の計画策 定作業を推進しており、 (2)に関しては「全体のインテグレーターとしての立場を打ち出し、コンサルティング・サービスを提供していきたい。売り上げはマンマンス方式ではなく、 新たに生じるバリューに応じシェアしていただく。実現までには“懐妊期間”があるものの、いくつか“芽”は出てきている」と長山社長は期待を込める。ま た、(3)の分野に関してはアカデミズムの世界と連携した文化活動や研究会活動などを展開しながら、絶えず新しい問題意識とパラダイムを提供していきたい としている。

いずれにしてもPPPという新しい市場の形成に努め、新しい価値観に基づくビジネス・モデルを、まず一つ構築してもらいたい。<了>

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